相続登記を自分でするハードル|法務局の登記相談で十分?

目次

はじめに

2024年4月から義務化された相続登記。
「自分で手続きをして費用を抑えたい」と考え、法務局の窓口で行っている「登記相談」の利用を検討されている方も多いのではないでしょうか。

「法務局が無料で教えてくれるならそれで十分ではないか」と思いがちですが、実は法務局の相談には厳しい制限や、一般にはあまり知られていない最大のデメリットがあります。

本記事では、法務局の登記相談の実態と、司法書士相談との決定的な違いについて詳しく解説します。

法務局で行っている登記相談はあくまで手続の案内

まず大前提として知っていただきい情報として、法務局で行っている登記相談は正式名称「登記手続案内」と言います。
相談を受けてくれるところではなくあくまで手続を案内するところなので法的アドバイスは一切提供してくれませんし、書類の書き方について丁寧に指導してくれることはありません。

ここの認識を誤って法務局へ出向くと無駄足で終わりかねません。

知っておきたい「法務局の登記相談」3つの高いハードル

法務局の登記相談は、いつでも気軽に何でも聞ける場所ではありません。実際には、以下のような厳しいルールが設けられています。

  • 完全予約制(思い立ってすぐには行けない)
    相談には事前予約が必須です。義務化の影響もあり、地域によっては「予約が取れるのは数週間先」「希望の時間が取れない」というケースも珍しくありません。当然、予約できるのは平日のみです。
  • 1回あたり「20分以内」の厳格な時間制限
    相談時間は1回につき20分以内と厳密に決まっています。複雑な戸籍の読み方や、具体的な書類の書き方をイチからじっくり教えてもらう時間はありません。
  • 何度も通う必要がある(二度手間・三度手間のリスク)
    相談時間が非常に短いため1回で終わることは殆どなく、書類を修正してはまた予約を取り、何度も平日に法務局へ足を運ぶことになる方が多くいらっしゃいます。

サポートしてくれる内容も最低限なもの

  • 登記申請書、遺産分割協議書、相続関係説明図など書類の書き方の説明は受けられますが、あくまで書類を作成するのは相談者自身が行う必要があります。法務局の職員が、相談者が持参した書類を見ながら、ここにこのように書いてください、と手取り足取り丁寧に指導してくれるようなことはありません。
  • 名義変更したい不動産の情報(所在・地番・家屋番号など)、登記名義が現在どうなっているか、不動産の固定資産評価額は、など書類に書くべき情報も自分で事前に調べる必要があります。
  • 登記申請前の書類の記載に不備が無いか事前審査することはしてくれません。
  • 登記申請後の審査の結果、訂正や書類の追加提出を求められることがあります。そしてそれを放置しておくと登記申請は却下されます。

法務局での登記相談は、登記の完了を保証するものではありません。「この書類で登記申請ができるかどうか」という最低限の確認をするだけです。

【最大のデメリット】法務局では「法的なアドバイス」を一切受けられない

法務局の登記相談を利用する上で、最も注意しなければならないポイント。それは、法務局での登記相談では法的なアドバイスは一切受けられないという点です。

❌ 法務局では答えてもらえない質問の例

  • 誰の名義にするのがいいですか?
  • この名義の変え方で、後から親族間で法的トラブルになりませんか?
  • この名義の変え方で、将来的に2回目の相続(二次相続)が起きたときに困りませんか?
  • 売却時に問題になるようなことはないですか?
  • 将来思わぬ税負担が生じるようなことはないですか?

このような一歩踏み込んだアドバイスや、個別の事情に応じた判断は一切してくれません。結果として形式的には問題ないと言われ、登記を自力で完了させたが、何年か経ったあと

  • やっぱり別の相続人に名義を変えたくなった
  • 持ち分割合を変えたくなった

というケースも実務では少なくありません。
ただ一度登記が完了し権利が確定してしまうと、そう簡単にやり直しはできません。(一度確定した権利を安易に変更できるとなると、登記制度の安全性が損なわれるため、やり直しには厳格な手続き、審査が求められます。)
もしそうなった場合、専門家である司法書士でも手こずるほど難しい手続きが必要になります。

法務局は登記の手続き方法を案内するだけのところであって、責任をもって相談に乗り、適切な法的アドバイスを提供してくれるところではない点に注意が必要です。当然ながら、手続きを自分で完了させたあとに予期せぬ問題が起きたとしても、自分で解決するしかありません。

参考:東京法務局の登記手続案内のチラシ

相続登記を司法書士に依頼するメリットデメリット

一方、相続登記を司法書士に依頼する場合は司法書士報酬がかかるというデメリットがあります。ただし、司法書士に依頼した場合は単に「書類の収集・作成を代行してもらえる」だけではない、大きなメリットがあります。詳しくは下記記事をご覧ください。

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